こんにちは、さるあみです。
まだまだ残暑と呼ぶには恐ろしいくらいの暑さが続いていますが、日本酒業界ではもうじき『ひやおろし』の出荷が始まりますね。
こうして少しずつ季節は移り変わり、暑さなどなかったかのような日々が訪れます。
日本酒もまた、
冷酒から、常温へ。
常温から、熱燗へ。
飲み方が、少しずつ移り変わっていきますね。
そんな季節の変わり目に合わせるかのように、先日、全国燗酒コンテスト2019の結果が発表されました。
今年は全国268社。905点。
初開催の2009年は、131社131点の応募でした。
当時は1社1点のルールがあったため規模は小さめ。
ですが、10年という月日はコンテストの知名度と格を上げ、今年は7倍もの応募点数となっています。
部門の数は4つ。
- お値打ち燗酒 ぬる燗部門(720ml、税抜1100円以下)
- お値打ち燗酒 熱燗部門(720ml、税抜1100円以下)
- プレミアム燗酒部門(720ml、税抜1100円以上)
- 特殊ぬる燗部門(にごり酒、古酒など)
といったカタチに分かれています。
2の熱燗部門のみ55℃での審査。他3部門は45℃での審査となります。
今年の最高金賞は54点。
金賞は210点となりました。
我らが秋田県はどうだったのでしょうか。
できるだけ短くまとめていきますので、どうぞお付き合いくださいませ。
- 1、お値打ち燗酒 ぬる燗部門(720ml、税抜1100円以下)
- 2、お値打ち燗酒 熱燗部門(720ml、税抜1100円以下)
- 3、プレミアム燗酒部門(720ml、税抜1100円以上)
- 4、特殊ぬる燗部門(にごり酒、古酒など)
- まとめ
1、お値打ち燗酒 ぬる燗部門(720ml、税抜1100円以下)
- 出品数:246点
- 最高金賞:16点
- 金賞:51点
秋田県は最高金賞なし。東北でも福島県の1点のみとなりました。
ところが、金賞がなんと秋田県6点!
- 北鹿『特別純米 北秋田』
- 木村酒造『福小町 純米辛口』
- 秋田県発酵工業『一滴千両 純米酒パック』
- 秋田酒類製造『高清水 生酛特別純米』
- 小玉醸造『純米吟醸 太平山55』
- 天寿酒造『清澄辛口本醸造 鳥海山』
もはや常連といって過言ない『北鹿』『木村酒造』『小玉醸造』。
そこでひときわ異彩を放っているのが『秋田県発酵工業』です。
パック酒でのエントリー。そして、金賞受賞。
この結果に驚かれた方もいるかもしれませんが、むしろ当然の結果なんです。
一滴千両は、パック酒の雄。
普通酒は家庭で親しまれているのはもちろん、パックの大吟醸も存在しています。
純米酒はとくにデイリーユースとして人気であり、価格の安さも手伝ってその知名度は高いです。
普段づかいを肩肘張らず。
日常に寄り添ってくれるいいお酒です。
そしてもうひとつ。
もはや燗酒コンテストの常連となった『福小町 純米辛口』。
+8度の辛口で、価格は1000円ほど。
程よい酸味と合わさって、辛口好きにはたまらぬ味わいになっています。
冷やしてキレを楽しむもよし。
温めてふくらみを楽しむもよし。
どんな飲み方をしても応えてくれるオールラウンダーです。
手にも入りやすく、『探す』というストレスもありません。
まずは1本。
お試しに買っても懐が痛まない、やさしいお酒ですよ。
2、お値打ち燗酒 熱燗部門(720ml、税抜1100円以下)
- 出品数:242点
- 最高金賞:15点
- 金賞:55点
最高金賞は、青森、山形、福島で1点ずつ。秋田はなしです。
金賞受賞は、県勢1点。
- 秋田酒類製造『高清水 辛口パック』
なんというか、特筆することがないくらい信頼と実績のある『高清水』。
一升瓶の『からくち』は県外の居酒屋でも出されていて、知名度は高いですよね。
『吉田類の酒場放浪記』『おんな酒場放浪記』なんかでも、秋田の地酒として登場することが多いです。
そんな『高清水 辛口パック』ですが、日本酒度は+8。
甘みを抑えてうまみだけを残した良酒です。
デザインはシンプルで、冬がよく似合います。
ぜひ、寒い時期は白いパックの辛口で。
リーズナブルな価格で身も心もポカポカになれますよ。
3、プレミアム燗酒部門(720ml、税抜1100円以上)
- 出品数:323点
- 最高金賞:19点
- 金賞:83点
最高金賞は、青森、福島から1点。
そして、秋田から1点です! ぱんぱかぱーん!!
大館市の、北鹿。
なんと、あの“日本一売れている大吟醸”で有名な北鹿が、栄えある最高金賞を受賞しました!
ほかにも『北秋田』は、特別純米が“お値打ちぬる燗部門”において金賞を受賞。
すべてに、リーズナブルなだけではない『格』が備わりましたね。
どの飲み方でもうまく、どこでも買える。
いよいよ手のつけられない勢いが生まれました。
うまいお酒がいつでも飲める。
こんな強みは他にないです。
筆者も給料日前は、そのリーズナブルさにお世話になっていました。
ですが、今後は「安いから買う」ではなく「買いたいから買う」。
買う理由の変わる方も多そうですね。
続いて、金賞受賞酒のご紹介です。
こちらも秋田県勢が大健闘。なんと6点。
- 阿櫻酒造『特別純米無濾過原酒 秋田酒こまち 7号酵母』
- 秋田銘醸『みちのく吟醸 花爛漫』
- 浅舞酒造『亀の尾仕込み 天の戸』
- 浅舞酒造『天の戸 五風十雨』
- 天寿酒造『生酛仕込み純米酒 鳥海山』
- 天寿酒造『生酛純米吟醸 鳥海山』
『天寿』と『浅舞』の強さが際立っていますが、いまどちらを推すかと問われればこちら。
『浅舞酒造』。
そのこだわりは深く、蔵から半径5キロ以内で穫れた米のみを使用。
そこから生まれた純米酒は食中酒として評価が高く、県内の居酒屋でも楽しまれています。
ですが今回、浅舞酒造を推した理由には個人的なものがあります。
先月7/30。
その浅舞酒造、『天の戸』の杜氏である森谷康市氏が亡くなりました。
62歳でした。
すごく個人的なことなのですが、私は新屋のやきとり居酒屋『とりっこ』によく足を運んでいました。
そこにはもちろん日本酒があり、『天の戸 美稲』の姿も。
私はとりっこで『天の戸 美稲』を飲むのが好きでした。
ルーティーンでもないですが、なぜか必ず頼んでしまうんです。
食べていると、飲みたくなる。
まさに『杜氏の術中』。
まんまと罠にはまって、まんまと笑顔にされる。
そんな素敵な日本酒が天の戸でした。
ですので、今回だけはごく個人的な理由で『浅舞酒造』を推させていただきました。
献杯の意味をこめて。
4、特殊ぬる燗部門(にごり酒、古酒など)
- 出品数:94点
- 最高金賞:4点
- 金賞:21点
最高金賞はやはり福島のみの1点。
金賞受賞は県勢1点となります。
- 北鹿『北あきた にごり酒』
北鹿の勢いが止まらないですね!
特にこれから『ひやおろし』の時期が終われば『にごり酒』の天下です。
ここから伸びる。
今年はさらに伸びる。
“冬はにごりの北あきた”といったフレーズで、全国に並ぶ日も遠くないのかもしれません。
にごり酒のおもしろいのは、上澄みとにごり。
両方楽しめるところにあります。
決まった飲み方はないので、飲む人の好きに飲めるのが楽しいですよね。
世代を越えて老若男女。
うまいまずいの感想も自由に楽しんでしまってください。
まとめ
今回の記事はいかがだったでしょうか?
秋田県は、
- 最高金賞:1点
- 金賞:14点
という結果になりました。
全体の最高金賞は54点。
金賞210点であることを考えると、かなりの割合を占めたのではないでしょうか。
特に、北鹿。
まだ北秋田をリーズナブルなだけの酒という人はいるでしょうか? いや、いないはずです。
『どこでも買える、本当にうまい酒』。
そうして、全国各地の居酒屋で飲まれる日も遠くないはずです。
それでは、冬が近づくにつれて読み返したくなる記事となることを願って、今回はこのへんで失礼します。
みなさん、ここまで読んでいただきありがとうございます。
よい秋田を!
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