「生活費で手一杯なので、1杯で満足できる日本酒を探している」
「ぶっちゃけ雄町ってどうなの?」
本記事は、そんなあなたに向けて書いています。
こんばんは、さるあみです。
今回は、『ゆきの美人 純米吟醸 雄町』をご紹介していきます。
酒米にもいろいろな種類がありますが、雄町が有名になったのは割と最近。
ハマる人はとことんハマるらしいですし、食の情報誌なんかでも特集が組まれるほどになりました。
ところが実はこの筆者、いまのいままで雄町を飲んだことがなかったんです。
理由はカンタン。
スーパーになかったからです。
雄町という酒米に手を出しているのは、ちょっとハイブランドな酒造が多いんですよね。
だから、酒屋を利用しない人間にとっては馴染みのない酒米ともいえます。
さて、ここからが本題です。
「ぶっちゃけ、雄町ってどうなんでしょう?」
本当に特集が組まれるだけの価値があるのか。
山田錦、五百万石、美山錦、秋田酒こまちではダメなんでしょうか。
代わりはきかないのでしょうか。
気になってしまったので、今回は試しに『ゆきの美人』の『雄町』を購入してみました。
この記事を読むことで、気になっていた雄町の魅力を知ることができます。
さらに、その魅力に取りつかれて、『雄町』が飲みたくて仕方なくなるにちがいありません。
雄町には魔力があります。
いったいどんな魔力なのか。
- そもそも雄町ってどんな酒米?
- ゆきの美人 雄町の味は?
- ゆきの美人 雄町の商品情報
- ゆきの美人でほかにおすすめの銘柄は?
- まとめ
といった順で記事にしていきますので、最後まで楽しんでいってくださいね。
それでは、いってみましょう。
- そもそも雄町ってどんな酒米なの?
- 【ゆきの美人 純米吟醸 雄町】の味は?
- 【ゆきの美人 純米吟醸 雄町】の商品情報
- ゆきの美人でほかにおすすめの銘柄は?
- 【ゆきの美人 純米吟醸 雄町】の感想・評価:まとめ
そもそも雄町ってどんな酒米なの?
人気に火がついて久しい雄町ですが、ちゃんと知っているかと言われれば私はNOです。
「岡山の生んだ酒米で、個性的な味わいなるんでしょ?」
そんな程度の知識しかありませんでした。
実際は、岡山が生んだ酒米というよりも、ほぼ岡山そのもの。
生産量の9割以上を岡山県が占めています。
さらに驚くことに、それでいて生産量が『美山錦』に次ぐ第4位なんです。
2018年、酒米の生産量ランキングがこちら。
- 山田錦
- 五百万石
- 美山錦
- 雄町
- 秋田酒こまち
東西横綱とも呼ばれる『山田錦』『五百万石』、寒冷地でもよく育つとされる『美山錦』、そして秋田が誇る『秋田酒こまち』。
錚々たるラインナップのなかに、『雄町』があります。
そんな雄町が『幻の酒米』と言われるようになったのは、昭和中期のことでした。
かつて、雄町はこのように言われていました。
「雄町でつくった吟醸酒でないと賞はとれない」
それほどまでの優良種であり、各地で交配につかわれるほどの知名度を誇っていたんです。
いまでも、現存する酒米の約2/3が雄町の系統にあるほど。
あの『山田錦』ですらそうなんです。
ですが、そんな優良品種にも一点。
雄町にはただ一点だけ、致命的な欠点がありました。
それは、“栽培にかかる手間”。
雄町の稲はほかの品種よりも高さがあり、風に弱い欠点があったんです。
台風に勝てない。
その上、病気にも弱かった。
そのため、栽培にかかる手間のほうが勝ってしまい、やがて生産量は激減します。
一時は『絶滅』という言葉がささやかれるほど、危機的な状況に陥りました。
ですが。
ですが、それでも。
それでも伝統の灯は消えませんでした。
岡山県の酒造グループが立ち上がり、ふたたび栽培し、雄町を復活させたのです。
岡山県南部の備前地方にてつくられる雄町を、総じて『備前雄町』。
備前雄町のなかでも“赤磐市でつくられた雄町”を『赤磐雄町』といい、最高品質の雄町として扱われています。
そして、香川県でつくられている雄町を『讃州雄町』。
広島県でつくられている雄町は『広島雄町』と呼ばれ、地域の名称が頭につきます。
ただ、『讃州雄町』と『広島雄町』については生産量が少ないので、『雄町』とひとまとめにされることが多いようです。
復活した雄町でつくったお酒は品評会でも評価され、『赤磐雄町』でつくったお酒は2002年のモンドセレクションにおいて最高金賞をおさめます。
こうして雄町は、ふたたび動き出しました。
いまでは雄町愛ほとばしる方々を『オマチスト』と呼ぶなど、熱狂的な人気をみせるほど。
幻の酒米にかかっていた霧は晴れ、雄町はいま日の目を見ています。
というわけで、長々と語ってしまいましたがまとめるとこうなります。
- 生産地は岡山県が9割
- 生産量は美山錦に次ぐ第4位
- 栽培がむずかしく、一時は幻の酒米と呼ばれた
- 細かく分けると〇〇雄町がいっぱい
- いまある酒米のルーツを辿れば、ほぼなんらかの形で雄町に辿りつく
- オマチスト
というわけで次は、“まだ”オマチストではない筆者による【ゆきの美人 純米吟醸 雄町】のレビューです。
長々と語ってしまったので、ここからはサクサクいきましょう。
【ゆきの美人 純米吟醸 雄町】の味は?
【ゆきの美人 純米吟醸 雄町】の味わいをひとことにまとめるとこうなります。
“ジューシーな酸味が延々と楽しめる、なぜか重みのない日本酒”
まずは香りからして個性がありました。
フルーティーで、かつ、香る時間がながい。
立ち香がつよくて、飲む前から期待値が高まります。
口にふくむと、小さなしびれと凄まじいふくらみ!
まさにジューシー。
さらに、+6度の辛口でありながらも酸味が勝るので、ひとくちが長く楽しめます。
舌で押しつぶすと酸味がより顕著に感じられるので、ぜひ酸味の広がりを堪能してみてください。
ジューシーで辛さよりも酸味が勝るともなれば、なんとなく重いお酒を想像するかもしれません。
ですが、この『雄町』はちがいます。
むしろ軽快。
味わいが強くて深いのに、なぜか重くないんです。
あきらかに矛盾したことをいえば、
「一杯の満足度がべらぼうに高いのに、もっと飲みたい」
「全然満足してないじゃん!」と思われるかもしれませんが、ちがう。ちがうんです。
ただ単に、この満足感をもっと楽しみたくなるんです。
いわば、欲。
おいしいお酒って、一杯では満足できませんよね(笑)
「いやー、うまい!けど、1杯でいいかな」が何杯も続く、恐ろしいお酒でした。
【ゆきの美人 純米吟醸 雄町】の商品情報
ゆきの美人をかもす秋田醸造の特徴として感じるのは、『辛口』と『酸味』。
山田錦をつかったものは日本酒度が+10、愛山を麹米につかったものも+6と、かなり辛口なものが多いように思います。
そんななかで『雄町』もまた日本酒度+6。
似たような数値で、なぜか似たような味わいにならない。
なんだか、日本酒は生き物だと痛感させられますね。
ゆきの美人でほかにおすすめの銘柄は?
ここまで『雄町』を絶賛してきましたが、「じゃあ、ゆきの美人の他の銘柄はどうなんだ」と思いますよね。
ここでは、先程ちょろっとだけ触れた『山田錦をつかったもの』とド定番の『純米吟醸』をご紹介します。
【ゆきの美人 純米吟醸 山田錦 6号酵母 生酒】
ちょっとやそっとの辛口ではない『大辛口』な1本。
しっかりと酸味があるので、ただ辛いだけの日本酒に落ちつくことはありません。
+10度でありながら、なぜか+10度のラインでうまくバランスがとれているお酒です。
【ゆきの美人 純米吟醸】
定番も定番の純米吟醸。
どこの酒造にもかならず存在し、それだけに実力が試されるお酒です。
ぜひ一度飲んでいただいて、「ここの酒造の別のお酒も飲んでみたい」と感じていただればと思います。
【ゆきの美人 純米吟醸 雄町】の感想・評価:まとめ
ゆきの美人は、どちらかというと県内よりも県外で有名な秋田の地酒です。
通年で販売している商品もあれば、通年にみえて季節限定品というものもあります。
雄町もそう。
どうやら火入れの雄町も通年販売しているわけではないらしく、楽天市場で検索してもひっかかりません。
飲みたいときに飲めない。
買いたいときに買えない。
紹介する側としては心苦しいのですが、機会があればぜひ飲んでいただきたい日本酒です。
それだけの価値が間違いなくあります。
オマチストの入口に置いてあるお酒。
それが【ゆきの美人 純米吟醸 雄町】です。
ぜひぜひ、抜け出せない沼にハマってみてくださいね。
私はもう手遅れ。
両足を突っ込んでしまったようです。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございます。
よい晩酌と、よい雄町を!
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