こんばんは、さるあみです。
今年もまた全国新酒鑑評会が開催されましたね。
2020年という『できるのか』『できないのか』を常に問われる年に無事に開催されたことを、まずは喜ばせてください。
本当に、よかった。
酒造の込めた技術の結晶が評価される場ですから、ここを目指して仕込んできた酒造も多いはずです。
だから、本当によかった。
とはいえ、手放しで喜ぶことはできません。
なぜなら、新型コロナウイルスの影響により、金賞の選定が中止となったからです。
ですので、2020年の全国新酒鑑評会は『入賞のみ』の発表となりました。
全国から集った日本酒の数は850点。
そのうち入賞したのは、約半数の433点となります。
秋田県から送り出されたのは29点で、入賞は21点。
惜しくも8点は落選という形になってしまいました。
21点というのは全国的にみれば5位という好成績であり、酒どころとして見事なポジションなのではないかと思います。
この記事では、入賞した21の酒造と、なかでも注目しておきたい酒造を3つピックアップしてご紹介します。
最後まで読むことで、いま秋田でアツイ酒造を知ることができます。
「お、これ、さるあみが言ってた酒造の酒じゃん」
とはいかなくていいので、
「お、このお酒の酒造、聞いたことある」
と思っていただけるとうれしいです。
それでは、最後まで楽しんでいってくださいね。
- 全国新酒鑑評会の抑えておきたいポイント
- 全国新酒鑑評会2020で入賞した秋田の日本酒【21点】
- 入賞21蔵のなかで特におすすめしたい3つの酒造
- 全国新酒鑑評会2020で秋田県はどうだった?入賞酒まとめ
全国新酒鑑評会の抑えておきたいポイント
全国新酒鑑評会とは、ざっくりといってしまえば、その年の新酒の出来栄えを競うコンテストです。
はじまりは1911年と古く、今年でなんと108回目。
吟醸酒で争うイベントなので、出品されるお酒はほぼ大吟醸か純米大吟醸となります。
選定は利き酒のような形でおこなわれ、口にふくんだお酒を飲み込むという工程はありません。
そのため、飲み込んだあとの余韻や香りは評価外となります。
かつて出品酒は、あくまでも“出品するためのお酒”に過ぎませんでした。
だから、一般消費者の手元に届くことはほとんどなかったんです。
ですが、いまは違います。
出品酒をなんらかの形で一般販売する酒造が増えました。
酒造にもよりますが、
「どうせ飲めないんでしょ?」
と、諦める必要はなくなったんです。
ですので、“全国新酒鑑評会で金賞を獲得した酒造の日本酒”ではなく、“全国新酒鑑評会で金賞を獲得した日本酒”が、私たちでも飲めます。
むかしよりもずっと身近になりました。
「賞をとったお酒はどうせ買えないんでしょ?」
なんて思わずに、ここから楽しんでいただけるとうれしいです。
全国新酒鑑評会2020で入賞した秋田の日本酒【21点】
以下、並びは入賞酒目録のとおり。カッコ内は銘柄の名前です。
- 秋田酒類製造 本社蔵(高清水)
- 秋田酒類製造 御所野蔵(高清水)
- 秋田酒造(酔楽天)
- 両関酒造(両関)
- 木村酒造(福小町)
- 阿櫻酒造(阿櫻)
- 浅舞酒造(天の戸)
- 鈴木酒造店(秀よし)
- 齋彌酒造店(雪の茅舎)
- 佐藤酒造店(出羽の冨士)
- 天寿酒造(天寿)
- 北鹿(北鹿)
- 飛良泉本舗(飛良泉)
- 小玉醸造(太平山)
- 千歳盛酒造(千歳盛)
- 日の丸醸造(まんさくの花)
- 栗林酒造店(春霞)
- 福乃友酒造(福乃友)
- 出羽鶴酒造(出羽鶴)
- 高橋酒造店(奥清水)
- 大納川(大納川)
秋田酒類製造は、本社蔵と御所野蔵のダブル受賞となっています。
目録に目を通してちょっと不思議だったのは、ぜったいに入っていると思っていた酒造の名前がなかったことです。
たとえば、
いずれも地元だけでなく、県外でも有名なブランドばかり。
そもそも出品していたのかがわからないのでなんとも言えませんが、いずれにしても深く考えさせられる結果となりました。
入賞21蔵のなかで特におすすめしたい3つの酒造
全国新酒鑑評会で入賞をはたした酒造のなかから、とある理由からおすすめしたい3つの蔵をご紹介します。
おすすめする酒造は、こちらの3つ。
- 千歳盛酒造(千歳盛)
- 大納川(大納川)
- 佐藤酒造店(出羽の冨士)
1、千歳盛酒造(千歳盛)
千歳盛酒造は、県北の鹿角市にある酒造です。
代表銘柄は、『鏡田』『チトセザカリ』『花輪ばやし』。
おすすめする理由は、『入賞までの期間』です。
千歳盛酒造が生まれたのは実は去年のこと。
2019年の春までは「かづの銘酒」という名前でした。
「名前が変わっただけでしょう?」
と思われるかもしれませんが、名を変えるというのは会社に大きな動きがあった証拠にほかなりません。
実は、「かづの銘酒」には後継者と呼べる人間がおらず、外食チェーンのドリームリンクが子会社化することで継承となりました。
そこにいたるまでの道のりは、外部の人間が一言二言で書くものではありません。
ただ、これだけはいえます。
新体制になってたったの1年ほどで、全国新酒鑑評会において入賞するほどの質を生んだ、と。
2、大納川(大納川)
大納川は、県南の横手市にある酒造です。
代表銘柄は、『大納川』『天花』。
おすすめする理由は、おなじく『入賞までの期間』です。
大納川もまた、生まれたのは2019年。
それまでは『備前酒造』として知られていて、昔ながらの『山内杜氏』をはじめ、地元で強く愛されていました。
事業の継承という点までは千歳盛酒造と似ているのですが、備前酒造を引き継いだのは個人。
田中文悟氏でした。
氏は、2010年からの約10年にわたって、秋田にかぎらず酒造12社の再建に携わってきた方です。
いわば、酒造の再建請負人。
実際、大納川の社長に就任してからたったの1年で、売上を1.5倍にし、さらには鑑評会入賞まで果たしました。
氏のすごさは、手腕はもちろん、何より決断力にあるのではないかと考えます。
なぜなら、大納川になってたったの1年で、これまで浸透してきた『大納川』というブランドのロゴマークを一新したからです。
まったくの別物へと生まれ変わりました。
文字だけのシンプルなものから、まったく新しいロゴとアルファベットの組み合わせに。
その変化は、まさに革新。
氏は伝統を守りつつも伝統に埋もれることのない、『これからの日本酒』をつくってくれるに違いありません。
3、佐藤酒造店(出羽の冨士)
佐藤酒造店は、県南の矢島町にある酒造です。
代表銘柄は、『出羽の冨士』。
おすすめする理由は、『伝統的な味わいと女性らしさの組み合わせ』です。
以前までの出羽の冨士は、いわば質実剛健。
シンプルで遊びのないラベルが、男の酒を演出していました。
ですが、昨今の出羽の冨士には『遊び』が生まれています。
『ふざけている』という意味ではありません。
“蔵人は蔵人である前に人である”
人には人生があり、それぞれに個性が備わっています。
出羽の冨士の場合は蔵人のうち3人が女性であり、また、ママでもあります。
それは、他にはないオンリーワンの個性。
女性らしさ、ママらしさという目線を存分に活かしはじめているのが、いまの出羽の冨士です。
SNSでの発信もそう。
ラベルをポップで華やかなデザインにするのもそう。
すごく挑戦されていて、見ている側が楽しくてワクワクしてしまう魅力があります。
だからつい応援したくなる。
いままでの出羽の冨士も、これからの出羽の冨士も、どちらからも目が離せません。
全国新酒鑑評会2020で秋田県はどうだった?入賞酒まとめ
あらためておさらいすると、今大会に出品されたのは850点。
うち、入賞は433点です。
今年は新型コロナの影響で県外への移動ができなかったため、金賞の選定は中止となりました。
秋田県からは29点が出品。
うち入賞は21点で、全国では5位という結果になりました。
あなたが好きな酒蔵は入っていましたか?
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございます。
よい晩酌を。
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