こんばんは、さるあみです。
今回は、“秋田の地酒で学ぶシリーズ第4弾”。
題して、
“【超初心者向け】秋田の地酒で学ぶ!ラベルから日本酒の味ってわかるの?【酒米編】”
こちらをお送りします。
「酒米っていっぱいありすぎてよくわからない」
「酒米で味ってそんなに変わるものなの?」
そんな悩みや疑問に、私のレビュー記事をもちいて答えていきます。
本記事でご紹介する酒米はたったの5種類で、ものすごくポピュラーなものだけとなっています。
紹介するのはこちらの5種類です。
- 山田錦
- 五百万石
- 美山錦
- 秋田酒こまち
- 雄町
作付面積においてのトップ5となります。
つまり逆にいってしまえば、
- 今回紹介する酒米以外をつかっているものはちょっと珍しい
- あるいは、そこが売り
- 蔵元にとっても挑戦的な1本
というように考えることもできます。
もちろん、各都道府県ごとに推進している、または固有の酒米もありますので必ずしもそうとは言えません。
あれが入ってない、これが入ってないという意見もあるかと思いますがご容赦ください。
この記事にはむずかしいことは一切書きませんし、詳しすぎる内容にもするつもりはありません。というより、私の知識だと詳しくできない。
「今よりもうちょっとだけ日本酒を楽しみたい」
「これから日本酒を始めたいけど何を飲んだらいいかわからない」
そんなあなたに向けた記事となりますので、肩の力を抜いてのんびりと読み進めていただけるとうれしいです。
それではいってみましょう。
1、山田錦
作付面積:第1位
約6割が兵庫県で栽培されていて、『西の横綱』なんて呼ばれ方もしています。
もうひとつの別名は『酒米の王様』。
名前が表すとおり、酒米としての実力は一級品です。
業界最大級のコンテストである全国新酒鑑評会で賞をとるのは“ほぼ山田錦をつかったもの”となっています。
いまは使われなくなった言葉ですが、昔、業界にはこんな言葉がありました。
『YK35』
意味は、「Y=山田錦」「K=きょうかい9号」「35=精米歩合35%」。
酒米に山田錦をつかって、酵母はきょうかい9号。そして酒米を35%まで磨いて仕込めば、鑑評会で賞がとれるとまで言われていました。
山田錦は粒が大きく、さらには心白が大きいため高精白に向いている酒米です。
心白とは、粒の中心にある白い部分を指します。
この白い部分が日本酒にとってのうまみであり、逆に外側部分は雑味となってしまいます。
「粒が大きいとなにかいいことあるの?削る量が増えるだけじゃないの?」
と思われたかもしれませんが、粒が大きいというのは実はメリットになるんです。
なぜなら、削っても崩れにくいから。
極端な話をすると、あまり小粒だとそもそも35%まで磨けないことだってあり得ます。
その前に欠けてしまう。崩れてしまう。
だからこそ、高精白にも耐えられる適性の高さもまた、『王様』たるゆえんとなっています。
秋田の日本酒で山田錦をつかった日本酒の一例はこちら。
2、五百万石
作付面積:第2位
西に横綱がいるのなら当然、東にも横綱がいるべきだと思いませんか?
五百万石の別名は『東の横綱』。
五百万石をつかった日本酒はあちこちにあれど、なぜ新潟県だけが誇る酒米なのか。
それは“五百万石が新潟県で独自に開発された”ことにあります。
その試行錯誤が五百万石を生みました。
やがて似たような気候にある北陸地方を中心に栽培されるようになり、山田錦を追い越していた時期もあったほどです。
五百万石の特徴としておもしろいのが、粒の大きさ。
山田錦は粒が大きくて高精白にも耐えられると書きましたが、五百万石はその逆。
粒が小さいんです。
だから、高精白には耐えられないと言われています。
けど、新潟のお酒ってよく『淡麗辛口』なんて言われ方をしていますよね。
『すっきりとして軽快な辛口』
そんな評価があるのは、まさに五百万石そのものの実力だと言えます。
秋田の日本酒で五百万石をつかったもの……といきたかったのですが、筆者の飲んだものの中にはありませんでした。
申し訳ありません!
3、美山錦
作付面積:第3位
主に寒い地域(長野・秋田)などで栽培されている“寒さに強い酒米”。
それが美山錦です。
美山錦は名前の美しさもさることながら、味わいもまた美しいんです。
山田錦・五百万石では粒の大きさについて触れましたが、美山錦の特徴は『粒が硬くて溶けにくい』ところにあります。
溶けにくい。
ちょっと言い方を変えると、雑味が溶け出しにくい。
つまり、酒質のクリアーなものができやすいことになります。
寒冷地で育てやすいことから、東北の日本酒には美山錦をつかったものが多く見受けられます。
ラベルに美山錦と書かれた日本酒を見かけたら、「お、東北の日本酒かな?」と期待してみてください。
かなりの確率で長野県だったりします(えっ?)。
秋田の日本酒で美山錦をつかった日本酒の一例はこちら。
4、秋田酒こまち
作付面積:第4位
秋田酒こまちは、2000年代に生まれた比較的あたらしい酒米です。
名前が表すとおり、秋田県で生まれました。
実は、秋田酒こまちが生まれる前の秋田県では、美山錦や県外産の山田錦がおもにつかわれていたんです。
言ってしまえば、『秋田県独自』と呼べるものがなかった。
ですが秋田酒こまちはいま、秋田県がほこる独自の酒米として全国にその名を轟かせています。
秋田県農業試験場が、15年もの試行錯誤が身をむすんだ結果なんです。
秋田酒こまちの特徴としては、山田錦と同じく『粒が大きい』ことがあげられます。
つまり、高精白にも耐えられるわけです。
味わいは『香り高く、上品』と言われることが多いですが、かならずそうなるわけではないので参考程度にしておいてください。
秋田酒こまちをつかった日本酒を飲んだ感想の一例はこちら。
5、雄町
作付面積:第5位
オマチストという言葉をご存知でしょうか。
雄町に魅入られた人をさす通称なのですが、それくらいハマる人はハマってしまう酒米。
それが雄町です。
生産量の95%が岡山県。
もちろん、主な生産地も岡山県です。
実は酒米って、交配による改良がかさねられて今があります。
あの山田錦ですらそう。
『山田穂』と『短稈渡船』という酒米を両親にもちます。
ですが、もっと遡る。
もっと遡ると『雄町』がいるんです。
山田錦のルーツには『雄町』が切っても切り離せません。
現存する酒米の約60%は雄町のDNAをもっていると言われているので、もはや『酒米の母』と言って過言ないのかもしれませんね。
味わいは五百万石とは逆で、ふくよかで旨味が濃い。
そして、燗がおもしろいお酒になります。
残念ながら秋田の日本酒で雄町をつかったものは飲んだことがないので、例を挙げることは叶いません。
機会があれば、追記したいと思います。
まとめ:バランスの良さ≠最高の日本酒
冒頭で、「山田錦が王様ならみんな山田錦をつかえばいいのに」という文を書きました。
これに対する答えが、今回の記事にはあったかと思います。
“賞をとる日本酒がかならずしも心を打つものとは限りません”
雄町の項を読んでいただければわかるように、個性にハマる人がたくさんいます。
キレのある辛口を求めて五百万石を好む人もたくさんいます。
嗜好品である以上、バランスの良さが『最高』ではないんですよね。
だからおもしろい。
だからやめられない。
日本酒ってほんと、楽しいですよね。
自分に必要な知識って勝手に頭にのこり続けるものです。
だから、流し読みでかまいませんので『秋田の地酒で学ぶシリーズ』を楽しんでいただければ幸いです。
そうして残った知識は、あなたが日本酒を選ぶときの肝になってくれるかと思います。
ではでは、今回はこの辺で失礼します。
この記事があなたの日本酒ライフに少しでもお役にたてればうれしいです。
さるあみでした。