こんばんは、さるあみです。
日本酒のラベルによく見かける【日本酒度】という項目。
+1だの-1だの、大きくはない数字が書かれているのを一度は目にしたことがあるかと思います。
あの数字って何を表しているんでしょうか?
単語をそのままの意味で受け取ろうとすると、こうなっちゃいますよね。
日本酒+度数。つまり、アルコール度数の日本酒版。
“どのくらい日本酒であるかを表す数値”
だから、プラスであるほど『これは日本酒!!』であり、マイナスであるほど『これは日本酒??』となる。
そんな風にも捉えられます。
実際のところはどうなんでしょうか。
というわけで今回は、日本酒のラベルによく記載されている【日本酒度】について、秋田の地酒を例にして紐解いていこうと思います。
この記事を読むことで、甘い日本酒の探し方がわかります。辛い日本酒の探し方がわかります。
あなたの好みに合う日本酒がぐーんと探しやすくなりますよ。
どうぞ最後までゆっくりしていってくださいね。
- まずはそもそも日本酒度ってなに?
- 実例:日本酒度+1『チトセザカリ純米吟醸 美郷錦』
- 実例:日本酒度-35『高清水 デザート純吟』
- 実例:日本酒度+15『山本合名 純米酒 ど辛』
- まとめ:日本酒度とは甘い辛いの指標ではあるけど、味を決める一因に過ぎない
まずはそもそも日本酒度ってなに?
日本酒度とは、日本酒の『甘さ辛さをみる目安の値』を表します。
より厳密にいってしまえば、辛さではなく“どれくらい甘くないか”なのですが、そこはザックリいきましょう。
よく年配層の方に多いのがこういった感想。
「辛いのじゃないと飲めねぇ」
「こいだばおがあめなぁ(これだとちょっと甘すぎるなぁ)」
このような、甘い辛いの指標となるのが【日本酒度】です。
「それはわかったけど、じゃあ数値の意味は?プラスなら辛いの?」
そう、問題はそこですよね。
+1だの-1だの、そもそも中間はどこなの?って話です。
基準値は『0』でOK。
ここから『±1』くらいがちょうど中間で、甘口でも辛口でもない中口の日本酒となります。
そして±1を中間にして、プラスであればあるほど辛く、マイナスであればあるほど甘くなる。
これが日本酒度です。
より具体的にいえば小数点が出てくるのですが、ラベル上では切り捨てられているので、ここもザックリいきましょう。
★辛口の場合
- 【やや辛口】+1~3
- 【辛口】+3~6
- 【大辛口】+6~
- 【頭おかしい】+20~
★甘口の場合
- 【やや甘口】-1~-3
- 【甘口】-3~-6
- 【大甘口】-6~
- 【頭おかしい】-20~
これに関しては人によって考え方が違いますので、おおよその振り分けとなります。
実際、私にとって+1度の日本酒は甘いですし、+4度の雪の茅舎『大吟醸 花朝月夕』なんかでも甘みを感じる人間です。
-1度だと相当な甘さを感じますし、+20度を超える日本酒は頭おかしい個性だと思っています。
つまり、【日本酒度】もまた味を決める一因でしかないんです。
おおよそのアタリをつける材料。
そう思っていただけるとうれしいです。
実例:日本酒度+1『チトセザカリ純米吟醸 美郷錦』
こちらは秋田の県北、鹿角市にある千歳盛酒造の銘酒「チトセザカリ」です。
日本酒度は、甘辛中間どまんなか。『+1』度とあります。
数値だけでも見れば甘くもなく辛くもない日本酒ということになりますが、実際の感想はどうだったのか。
私の感想をちょっと抜粋してみます。
甘酸っぱい香りだけれども、甘みが6、酸味が4といった感じです。
とにかく好み!!
味わいは、舌でつぶしたときの広がり方がマスカット!
さらに、奥からはイチゴのようなフレッシュさが訪れます。
香りを絶賛していますね。
これに関してはいまでも鮮明に思い出せます。香りがうますぎた。
フルーティな言葉をいくつ重ねても足りないくらい、ワイングラスから放たれる香りが鮮烈でした。
たしかに、味は甘みが強かったです。
けど、それ以上に酸味が心地よくて、甘酸のバランスが最高だったのを覚えています。
『甘酸っぱい』『マスカット』『イチゴ』
中間の味わいらしく、甘さが強調されるようなフルーツの名前が挙がっていないのも印象的ですね。
実例:日本酒度-35『高清水 デザート純吟』
ちょっと例が悪くて申し訳ないのですが、振り切れた甘口『デザート純吟』です。
なぜ例として悪いのか。
それは、このお酒の振り切れている部分が日本酒度だけではないからです。
【日本酒度-35】という強烈な個性と対をなす個性。
【酸度3.5】
これが味わいをややこしくするんですが、とりあえず感想といきます。
抜粋ッッ!
香りはやっぱり好みです。
華やかで、甘酸っぱさがいい方向に働いていると思います。
味わいは、強い甘みを酸味でフタしている感じですね!
甘さの伸びを、酸味で切る。
だらだらとした甘みが続かないので、さっぱりとした味わいになっています。
酒質はクリアーで雑味がなく、『甘酸っぱさ』がダイレクトに感じられます。
といった感想を残しています。
お気づきの方もいるかと思いますが、注目してほしいのはここ。
「味わいは、強い甘みを酸味でフタしている」
これが厄介。甘みの説明をしたいのに、酸味でバランスをとってしまっています。
「あっま!むり!俺は飲めん!」
という日本酒だったら今回どれだけ紹介しやすかったか。
そうなんです。
酸度がなければ甘いだけの日本酒。それも強烈な甘みをもった日本酒ということになります。
けど、そうさせないためにかならず何かしらの要因があるんです。
昨今の日本酒でいえば、酸味での調和。
それも抜群の割合で飲みやすさを演出してくれます。
いまの時代、振り切れた甘口には注目しておいた方がいいです。
かならずネガティブな想像を超えた味わいを送り出してきますので、酒販店で見かけたら要チェック!
実例:日本酒度+15『山本合名 純米酒 ど辛』
最後は【大辛口】にあたる『山本合名 純米酒 ど辛』にスポットライトをあててみます。
日本酒度は+15。
ちょっとやそっとの辛口なんて鼻息で蹴散らす逸材です。
私の感想はこちら。
四角い棒を口に押し込まれるような感覚。
香りから得た、
「あ、これ辛口だな」
という感想が、そのまま舌に乗ってきます。
そして、そのまま喉を通るんです。キレッキレの余韻を残して。
だから、味わいが広がらない。
ただただ硬質な辛さが『スーッ』と通りすぎる心地よさがあります。
(中略)
生半可な辛口には出せない透明感とのどごし。
辛いけど、飲みやすい。
市場から失くならない理由を舌で感じてしまいました。
やわらかさなど微塵も感じない感想ですね。
抽象的にしか語れなかったのですが、ど辛はほんとうに四角いイメージ。
液体につかう言葉じゃないのはわかっているのに、パッと浮かんだのが『四角い』という言葉でした。
文字通り度を越した辛口ではありますが、透明感があって技術の高さが伺えます。
なにごとも行き過ぎれば人を選ぶものなのに、このど辛はうまいんです。
なぜか飲みやすくて、いつの間にか“のどごしの虜”。
居酒屋のメニューにあれば迷わず頼んでしまうくらい好きになってしまいました。
まとめ:日本酒度とは甘い辛いの指標ではあるけど、味を決める一因に過ぎない
最後に、日本酒度と“味わいの感じ方”についておさらいしておきましょう。
- 日本酒度とは、甘い辛いを表す指標
- 0を基準として±1が中間
- プラスにいくほど辛くなる
- マイナスにいくほど甘くなる
- 日本酒度だけで味が決まるわけではない
最初の『チトセザカリ純米吟醸 美郷錦』や『高清水 デザート純吟』に共通したのが“酸味”です。
本当はもう少し甘く感じるかもしれないところを、酸味が和らげて、かつバランスを生んでいました。
このように、【酸度】もまた味を決める一因となります。
ここに【酒米】【精米歩合】【仕込み水】などさまざまな個性が加わることで、同じ味のない世界が生まれているわけです。
だから【日本酒度】は、おおよその甘辛度を想像するための数値だと思っておきましょ。
まだまだラベルって楽しめますから。
やっぱり日本酒っておもしろいですよね。
知れば知るほど楽しくなってきて、やがては納得して選ぶようになります。
この納得こそが大切。
納得して外せば次があります。
けど、適当に選んだ、もしくは選んでもらった日本酒で外した場合はなかなか次が訪れません。
「私、日本酒だめだわ」
そんな風に思うのはもったいないですよ。
せっかくお酒が飲める人なんですから、存分に楽しんでもらいたいです。
私にそのお手伝いをさせてください。
次回は【酸度】について少しだけ触れてみます。
たぶんそんなに長くはならないかと思いますので、次回もお付き合いいただけるとうれしいです。
それでは、ここまで読んでくれてありがとうございます。
さるあみでした。
※【酸度編】できました。
※【精米歩合編】はこちら。