こんばんは、さるあみです。
いま、この日本酒があなたの目の前にあって気になっているのなら、買うべきです。
『吟´』は、そんなお酒。
日本酒の端っこが詰まった、コスパにすぐれた1本です。
ちょっと詳しくみていきましょう。
『飛良泉 吟´』ってどんな日本酒?
『飛良泉 吟´』は、にかほ市の飛良泉本舗がつくる、ちょっと変わった日本酒。
『´』は『ダッシュ』と読みます。
いったいなぜこんな記号がついているのかというと、答えは造りのなかにありました。
というのも、『吟´』はブレンド酒。
『責め』とは、もろみを搾ったとき最後に出てくる部分。
圧をかけて搾りきるので、味わいは濃厚で雑味が混ざるとされています。
そのため、出品酒に使われることはまずありません。
ですが、『責め』の部分を搾らないこともまたできないんです。
となると、出てきた『責め』はどうするのか。
その裁量は、各酒造にゆだねられます。
『飛良泉』の選んだ選択肢は『ブレンド』。
それも、『責め』同士のブレンドでした。
ワイン造りから言葉を借りるならば、『アッサンブラージュ』と言いましょうか。
2020年以降に現れた、
よりもっと前から発売されている、ブレンド酒の走りです。
つまり『飛良泉 吟´』は、純米大吟醸や大吟醸である前に、『ブレンド酒』となります。
なので、大吟醸のごときスペックでありながらも、大吟醸ではない。
“吟醸にあらず”
という意味で、『´(ダッシュ)』の記号があてられました。
『飛良泉 吟´』を飲んでみた感想は?
『飛良泉 吟´』の味わいを一言であらわそうと思ったのですが、しこたま難しいです。
がんばってみると、
でしょうか。
舌への当たり方は硬く、ファーストタッチは浅い味わいに感じます。
ですが、そこから旨みがじんわり。
舌の上でほぐれてからの甘みがたまりません。
しかも、その甘みが数値ほど強烈ではないんです。
絶妙なラインで、くどくならずに平たく収まっています。
水のように飲めるやわらかさは、間違いなくおねだん以上です。
ただ、飲み進めていくと、少しだけ感想が変わり出しました。
後味に青さを感じはじめたんです。
“ちいさな雑味の積み重ね”とでも言いましょうか。
最初は感じなかったクセが、飲み進めると前に出てきます。
『責めの部分のアッサンブラージュ』という情報に引っぱられてしまっているのか、そこに『責め』らしさを感じました。
硬く浅い味わいからスタートして、沁みるようによく広がり、やや雑味をもって締める。
味わいの感じ方としては、そんな感覚でした。
いうなれば、山なりの旨み。
『吟醸にあらず』という括りで考えるにはもったいない1本です。
『飛良泉 吟´』の商品情報
まとめ:『飛良泉 吟´』はまさかの普通酒!ブレンドの走り、恐るべし
『吟´』は、製造の過程をみれば『寄せ集め』のように思えるかもしれません。
ですが、それは大きな間違いです。
むしろ、企業努力のかたまり。
年々コストの増していく日本酒造りにおいて、ブレンドはリスキーです。
しかも、使う酒には出品用の酒も含まれます。
取り扱う酒屋さんのなかにも、
「もう今年は出てこないんじゃないか」
という声もありました。
ですが、それでもまた『吟´』は発売されています。
そこにあるのは、発売までの努力。
コストを上げないための決断です。
なので、アッサンブラージュするお酒は、その年ごとに変わるかもしれません。
今年の『吟´』は、今年しか飲めないのかもしれません。
『吟´』は、責めの部分のみを集めた部分ということもあり、量を確保するのがむずかしいお酒です。
なので、市場で見かけることも少ないかもしれません。
だからこそ、見かけたときがチャンスです。
いま、この瞬間が“買い”。
贅沢なアッサンブラージュを、あなたもぜひ楽しんでくださいね。
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