こんばんは、さるあみです。
今回は、ラベルがちょっと質素で情報が少ない1本を『秀よし』からご紹介。
酒担当者時代、入荷したその商品をみて「え?これ売れる?」と不安になったことを思い出します。
あまり不安だったので自分で買ってみたのですが、これがまんまと秀よしの術中に。
うまいんです。しっかりと。
毎年、秋深まるころに見かける1本ですので、そろそろ手にとった方も多いんじゃないでしょうか。
この記事を読むことで、同じような不安をもっている方の不安が消えます。むしろ興味が湧くはず。
というよりも、すでに興味をもっているから読んでくれているはずです。
その背中、後押しします。
それではいってみましょう。
最後までゆっくりしていってくださいね。
名は『秀よし 特別純米酒 山田錦100%仕込み』。ラベルは静かに語る。
どうですか、この静けさ。
はじめて見たときこう思いました。
「秀よしの…………何?」
ドカンと真ん中に『秀よし』の文字。ですが、大抵の秀よしのラベルには『秀よし』の文字が書いてあります。
それ以上の情報を、情報をください。
こちらも小売の人間。しかも酒部門の担当者です。
どうせ展開するならセールスポイントが欲しいじゃないですか。
「これってどういうお酒ですか?」
この質問に答えるのには、あまりにも情報が不足していました。
なにせ、書いてある情報といえば”山田錦100%”くらい。
残りの情報は、
- 精米歩合:60%
- アルコール分:15度
これくらいなものです。
山田錦をつかっていることしか答えられない。
限定品とはいえ、ラベルに季節感はない。
数量限定品なのだろうと推測するも、スーパーに卸してる時点でけっこうな数量だと思われる。
「つまり……どゆこと?」
とても悩みました。
山田錦をつかっている秋田の日本酒はありますし、ウリがどうしてもわからなかったんです。
となると、自分で買って飲むのがいちばん早いですよね!
知りたいのは味、評判。飲んでみてどうだった?
この秀よし、一言で表すならこうなります。
"素朴でありながらうまみが深い”
吟醸のようなフルーティーさこそ無けれど、甘酸っぱさが濃厚に香ります。
口に含むとファーストタッチがやわらかくて甘いっ。
舌先で甘みを感じ、中頃で酸味がうまれ、そこから確かな辛さが口いっぱいに広がりました。
飲み込んだあとに残るのは、辛味。
ふわっと広がる余韻にはもう甘みの文字はなく、「このお酒は辛口だ!」と言い切れてしまうほどです。
そして、この辛味にはキレがない。
よく伸びて余韻となるんです。
『福小町 特別純米酒』に似ているけれど、辛口の余韻が個性となっていますね!
伸びる辛口。
多少濃厚な料理にも負けない強さがありました。これは盃が進むやつ!
まとめ:数字でわかる楽しみもあれば、わからないのもまた楽しさのひとつ
味とラベルとの共通点は『素朴』。
けど、散々ふれたとおり『山田錦』を使用しているんですよね。
そこに質実剛健な『秀よし』が加われば、うまくて当然。
飲んできた『秀よし』の感想から得た意見になってしまいますが、どれもキレのある日本酒という印象はもちませんでした。
伸びやかな日本酒。
辛さを全面に押し出すような『秀よし』には出会ってきませんでした。
と考えれば、「これは辛口だ!」と言い切れる『秀よし』というのは、ちょっと珍しいのかもしれません。
いずれにしても、今しか飲めない『秀よし』です。
ぜひぜひ、取った手を戻さずに、そのままレジに持っていっていただけると嬉しいです。
それでは今回はこの辺で。
さるあみでした。