こんにちは、さるあみです。
あなたは、秋田の蔵元集団NEXT5を知っていますか?
日本酒業界を大きく賑わせた集団なので、名前だけは聞いたことがあるのではないでしょうか。
『5』というくらいなのだから、蔵の数は5つ。
どの蔵も有名で評判も上々なのですが、NEXT5のイメージとして多いのはこういう意見です。
「ああ、新政のやつでしょ?」
筆頭として挙げられるのは、やはり新政なんですよね。
たしかに、5蔵のなかで一番有名なのは間違いなく新政です。
では、他の4蔵が無名なのでしょうか。
いいえ、そんなわけありません。
ゆきの美人、一白水成、山本、そして春霞。
どれも秋田を代表する蔵元であり、若い蔵元です。
今回はそんなNEXT5のなかから、栗林酒造の『春霞 純米吟醸 緑ラベル』をご紹介します。
けっして華美なものはなく、もの静かなイメージがある栗林酒造。
なかでも『春霞』は、まさに名があらわすように『春のかすみ』の如しです。
派手さはないけれども、美しい日本酒となっています。
どうぞ最後までゆっくりしていってくださいね。
- 『春霞 純米吟醸 緑ラベル』とは?
- 『春霞 純米吟醸 緑ラベル』の味は?
- 『春霞 純米吟醸 緑ラベル』の商品情報
- 『春霞』シリーズのおすすめ商品をご紹介
- 『春霞 純米吟醸 緑ラベル』の感想・評価:まとめ
『春霞 純米吟醸 緑ラベル』とは?
『春霞 純米吟醸 緑ラベル』とは、美郷錦を100%使用した春霞の定番酒です。
秋田県独自の酒米である美郷錦を、栗林酒造が栽培しはじめたのは平成17年。
翌年の酒づくりの時点では、20数俵しか収穫できない希少な酒米でした。
美郷錦は栽培がむずかしい酒米としても知られており、扱いのむずかしい品種でもあります。
ですが、酒米としての実力はホンモノ。
酒米の王様である『山田錦』と『美山錦』を両親に持つ、寒冷地で生き抜くために生まれたエリート品種なんです。
そんな美郷錦がわずかしか穫れなかったころに生まれたのが、この日本酒。
『春霞 純米吟醸 緑ラベル』です。
『春霞 純米吟醸 緑ラベル』の味は?
『春霞 純米吟醸 緑ラベル』の味わいの肝は、酒米と酵母にあります。
美郷錦を50%まで削った大胆な1本は、熊本酵母KA-4と出会うことで軽やかさだけではない芯のある味わいになりました。
グラスに注ぐと香りはおだやかで静か。
口にふくむと柔らかくて、アルコール感がよく広がります。
含んですぐは甘口寄り。
後半にたしかなキレが感じられます。
甘みをもってやわらかく入ってきて、16度のアルコール感がよく広がり、辛口でキレていく。
食中酒としてとても質の高い1本となっています。
余韻は純米酒のほうが長いため、単体で楽しむなら赤いラベルの純米酒。
食事と合わせるのなら、この『春霞 純米吟醸 緑ラベル』をおすすめします。
『春霞 純米吟醸 緑ラベル』の商品情報
『春霞 純米吟醸 緑ラベル』の特徴や味をお伝えする際に少しずつふれてしまいましたが、ここで商品情報をまとめておきましょう。
純米酒であるため、原材料に『醸造アルコール』の文字はありません。
50%という精米歩合は、本来なら『純米大吟醸』の水準であるため、ラベルには『純米大吟醸』とも書けたはず。
それでも『純米吟醸』として世に送り出したのには、なにかこだわりを感じますね。
『春霞』シリーズのおすすめ商品をご紹介
『春霞』は栗林酒造を代表する銘柄であるため、定番品はもちろん、季節限定酒としてもさまざまな『春霞』があるんです。
いくつかレビューしていますので、そちらをご紹介していきますね。
『春霞 純米酒(通称ひげラベル)』
酒のやまや、酒の英雄など、量販店でも買えるのが強みの『純米酒』です。
『春霞 花ラベル 純米新酒』
『春霞』の季節限定酒で、春のお酒です。
『春霞 栗ラベル白 酒こまち生』
『春霞』の季節限定酒で、冬のお酒です。
酒米に秋田酒こまちを使用しているのも特徴で、ちょっと違った春霞を楽しむことができます。
『春霞 初しぼり生 純米酒』
こちらの『春霞』も冬の地酒で、初しぼりらしいフレッシュさのある1本です。
『春霞 純米吟醸 緑ラベル』の感想・評価:まとめ
栗林酒造店の代表である栗林直章氏は、『美酒復権』の中でこのように語っています。
「(他の四蔵の)みんなはどんどん進んでいる。もう情けなくて、いつになったら、この人達と同じレベルに立てるのか」
2010年の言葉でした。
あれから9年の月日がたち、いまでは美郷錦の栽培面積は30倍以上に。
蔵の商品の6割が、美郷錦をつかった日本酒になりました。
そうして新しい試みが生まれ続けるなか、緑ラベルは今日もつくられています。
20数俵しか穫れなかった時期に始まり、いまも尚つくられ続けている。
『春霞 純米吟醸 緑ラベル』は、栗林酒造の歴史そのものなのかもしれませんね。
それでは、今回はこのへんで。