こんばんは、さるあみです。
私だけではないはずです。
「もう動物ですらないのか(笑)」と思って手に取った人は。
そして、私の場合はそこからまんまと買ってしまいました。
というわけで今回は、ひと足早く季節を告げた1本。
早速、いっちゃいましょう。
『大納川天花 純米吟醸 秋酒』ってこんなお酒!
『大納川天花 純米吟醸 秋酒』、実はちょっとめずらしい酒米をつかっています。
名を、秋の精。
トヨニシキと美山錦を親にもつ、2000年生まれの酒米です。
いま、私の目の前には【水稲新品種『秋の精』の育成】というファイルがあるのですが、なんと21ページにも渡って『秋の精』が語られています。
しかも、内容がめちゃめちゃ難しいです。
当たり前ですが、遊びがありません。
明らかに消費者向けではないファイルとなっています。
なので、かいつまんで内容をお伝えしたかったのですが、すみません!諦めます!
とはいえ、あなたを手ぶらで帰すわけにはいきません。
せめてこれだけ。
これだけ覚えていってください。
秋の精もまた、秋田固有の品種です。
さて、大納川天花に話題を戻しましょう。
今回の秋酒、実は酵母もちょっとめずらしいものをつかっています。
あなたは蔵付酵母をご存じでしょうか?
蔵付酵母は、読んで字のごとく『蔵に付いていた酵母』のことをいいます。
なので、ちょっと大げさな表現をすれば、
“その蔵にしかない、世界でたったひとつの酵母”
なんです。
おなじものが存在しない。
いうなれば、蔵の個性です。
今回の秋酒につかわれているのはD‐121という酵母で、こちらも蔵付。
個人的な感想ですが、大納川は特に蔵付を大切にされている蔵だと感じています。
この組み合わせがどんな秋をもたらすのか。
ちょっと感想に移っていきましょう。
『大納川天花 純米吟醸 秋酒』を飲んでみて
正直にいいます。
最初のひとくちは「うーん」という感じでした。
なんだか古風。
夏酒に慣れていただけに、奥にある熟成感に強いギャップを感じたんです。
「おおう、こういう感じか」
瓶を空にするのには時間がかかりそうだと、本気で思いました。
が。
しかし。
But!
その感想は、飲んでいくうちに180度変わってしまいます。
なにせ、飲めば飲むほどおいしいんです。
ジューシーな甘みと強い酸味。
そして、古風なうまみ。
ひやおろしなのだとしたら、「低温で半年寝かせたくらいでこうなるか?」と疑いたくなるほど、うまみに熟れを感じました。
否定的な感想だと思われたかもしれません。
が、むしろ逆なんです。
熟成感が舌で伸びないから、不思議とスイスイいけてしまいます。
だから、おいしい。
飲めば飲むほどその飲みやすさに驚かされます。
合わせるとしたら肉やキノコでしょうか。
刺身だと、刺身が負けてしまいます。
酸の強さから白身魚を合わせたいのですが、こちらも負けてしまうのではないかと感じました。
全体とおして感じたのは、まさに季節が求めた味わい。
深まる前の秋。
初秋だからこそピッタリな、深すぎない1本でした。
『大納川天花 純米吟醸 秋酒』の商品情報
まとめ:味のトレンドが変わるのを感じる1本!
まさに、スルメのような1本。
いや、いいんです。
ありきたりな表現しやがって、というのはもっともな意見です。
ぜひ、貴重な感想としてぶつけてください。
ただ、これに関しては本当にそう(スルメ)としかいえません。
ひとくちで感想をまとめていたら、きっと私は後悔していました。
「おおう、こういう感じか」じゃないんですよ。
どんな感じやねん。
おなじセリフ、飲みきってから吐けるのかといいたいです。
が、たぶん吐けます。
「おおう、こういう感じか(恍惚)」
訳知り顔で「はいはいはい」とか「なるほどね」とか、“わかってますよ感”が出るに違いありません。
あなたはこうなったら絶対ダメですよ。
うまい!
まずい……
その2つの感覚だけを大切にしてください。
造り手が求めるのは、難しい感想ではないのですから。
ではでは、夏の出口から届いた1本。
飲むなら“いま”。
いまこの瞬間がオススメです。
秋が深まる前、その前哨戦として楽しんでみてはいかがでしょうか。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
※いつもならここでオススメな日本酒の記事を貼るのですが、せっかくの秋です。
ぜひ、続々と出てくるひやおろしを飲んでみてください。
きっと、あなたの好きな蔵も出しているはずですよ。