こんばんは、さるあみです。
秋田県の酒米としては15年ぶりの新品種となる『百田』と『一穂積』ですが、いよいよ各酒造がトライアル商品を出してきましたね。
早かったのは、爛漫、鳥海山、両関、そして『阿櫻』。
その中から今回は、阿櫻酒造の『阿櫻 純米大吟醸 無濾過原酒 百田』をご紹介します。
お酒の味わいはもちろん、「そもそも百田って?」という疑問も解決していきますので、ぜひ最後まで楽しんでいってくださいね。
それでは、いってみましょう。
そもそも『百田』ってどんな酒米なの?
『百田』とは、『秋系酒718』を母、『美郷錦』を父にもつ酒米の新品種です。
人工交配がはじまったのは2010年で、そこから約10年の歳月をかけて品種登録へといたりました。
とはいえ、秋田で根強い酒米といえば『秋田酒こまち』ですよね。
『秋田酒こまち』もまた優秀な酒米であり、とくべつ新品種など不要な気もします。
ではなぜ、『百田』は生まれたのでしょうか。
その答えは、『山田錦』のなかにありました。
酒米の王様ともいわれる『山田錦』ですが、実は、気象等の影響により秋田県での栽培は不可能なんです。
ですので、秋田のお酒につかわれている『山田錦』はすべて県外産。
いわば、地元産ではない原料で地酒をつくっている状況にあります。
だからこそ求められました。
軽快で、かつ、ふくらみのある味わいの県産米を求めたんです。
その結果こそが、『百田』という新品種。
今までの秋田の酒米にはない特性をもった、まったく新しい品種が生まれました。
ちなみに、『百田』の父である『美郷錦』は、『山田錦』と『美山錦』を親にもつ酒米です。
もう訳がわかりませんよね(笑)
『阿櫻 純米大吟醸 無濾過原酒 百田』の味は?
『阿櫻 純米大吟醸 無濾過原酒 百田』の味わいをひとことで表すのはかなり難しいです。
ざっくり表すとすれば、
“まろやかさからの個性”
口にふくんで最初に感じるのは、味ではなく『まろやかさ』。
後から遅れて、しっかりとした酸味が顔を出します。
甘辛度は複雑で、辛いのではなく、甘くない。
実はむかし、『阿櫻 特別純米』の感想でも同じことを書いており、『百田』もまた阿櫻らしいお酒に仕上がっていると言えそうです。
とはいえ、この『百田』。
たぶん、めちゃめちゃ扱いにづらい酒米なのではないでしょうか。
ものすごく個性的。
消え味こそ阿櫻っぽいですが、味わいは荒々しくて酸味が重い!
無濾過、原酒であることも手伝って、なかなかパンチのある味わいに仕上がっています。
正直にいえば、好みではありません。
それなのに、なぜかグラスの進みが早い早い!
おなじく今年デビューの『一穂積』も買ったのですが、なぜか『百田』ばかりを飲んでしまいます。
たぶんですが、これは『魅了』です。
おいしいよりも、おもしろい。
圧倒的な個性は人を惹きつけます。
『百田』へのワクワクが、『一穂積』よりも先に感想を書かせています。
まとめると、
“最初はまろやかさだけを感じるけど、後から遅れて酸味が開く”
といった味わいでした。
『阿櫻 純米大吟醸 無濾過原酒 百田』の商品情報
さらに、『無濾過』で『原酒』。
それでいてアルコール度数は16度と、絶妙なラインをついています。
重くなりすぎず、かつ、米の味わいがアルコールに負けない。
そんな、『百田』を楽しむための1本です。
『阿櫻 純米大吟醸 無濾過原酒 百田』の感想・評価:まとめ
徐々に、顔を見せつつある『百田』と『一穂積』ですが、ここまでガッツリと楽しめるのは阿櫻が最初かもしれません。
各酒造とも、いってしまえばまだ試験醸造の段階。
酵母や水との相性など、さまざまな掛け合わせによって、これからようやく顔が見えてくるかと思います。
「この酵母でつくったらこうなった」
「水を変えたらこうなった」
まだ定かではないもののおもしろさが、『百田』にはあります。
まだぼんやりとした顔が、いつかハッキリと見えたとき。
いったいどんな評価を得るのか。
今から楽しみですね。
それでは今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。