こんばんは、さるあみです。
天の戸といえば、食中酒として『美稲(うましね)』が有名ですよね。
正直、私も『美稲』をイチオシしようと思っていました。
「これぞ秋田の食中酒だ!」って。
ですが、いろいろ飲んでいるうちに気づいてしまったんです。
「あれ? 他の銘柄もおいしいぞ」と。
というわけで今回は、食中酒としてはもちろん、単体で飲んでもおいしい『天の戸』を3本にしぼって紹介していきます。
灯台下暗しな1本からコスパの化け物まで、ラインナップはさまざま。
ぜひ最後まで読んで、あなたの日本酒選びに役立ててくださいね。
それでは、いってみましょう。
天の戸 純米大吟醸45
この1本、一言であらわすのならこうなります。
“手の届く贅沢”
原料米には『吟の精』を使っていて、精米歩合は45%。
青りんごのように華やかな香りがきれいな1本です。
甘い辛いで言えば、なんと言ったら良いものか。かなり困ります。
甘いの奥に辛いがあって、辛いの手前に甘いがある。
“やや辛口”といったところでしょうか。
ただし、香りが甘いので、甘みをおいしく感じられる純米大吟醸です。
なので、この『あきたさけ!』では、女性にもおすすめしたい日本酒として紹介させていただいております。
と、ここまでは純米大吟醸らしいポイント。
本当におすすめしたいポイントはここにあります。
「とにかくやっすいっ!」
リーズナブルな価格の大吟醸といえば、代名詞とも言えるのが『50%』の精米歩合。
コスパの良いものは、大吟醸としてギリギリのラインにいることが多いです。
が、しかし。
しかしです。
この『天の戸 純米大吟醸45』はギリギリの1歩先をゆきます。
先ほども触れましたが、精米歩合は45%。
しかも、720ml:1,650円ほどで買えてしまうんです。
まるで“純米吟醸の価格”。
さらにさらに、そんな1本が買う場所を選びません。
スーパーで買えます。
酒屋さんを回る必要すらないんです。
KuraMasterでプラチナ賞を獲得した『純米大吟醸35』の陰に隠れがちですが、『純米大吟醸45』は確かな実力の1本。
場所、価格ともに“買いやすい”という強みをもった1本です。
天の戸 純米酒 醇辛
個人的には、意外性トップクラス!
完全なるダークホース。
期待していなかったといえば失礼になってしまいますが、あえて言います。
まったく期待していなかった1本です。
というのも、私は昔、スーパーでお酒部門を担当していました。
主な業務内容は、発注、陳列、在庫管理。
そして、値引きです。
どんな食品にも『売り物としての賞味期限』があり、日本酒も例には漏れません。
ある一定の年月が経過してしまった日本酒は、値引きの対象になるんです。
『醇辛』は、値引きの対象でした。
それも毎年です。
必ずというほど売れ残り、最後に売れたのがいつだったか思い出せない。
そんな1本だったのです。
ゆえに、飲まずとも持ってしまったのが落胆の心。
「きっとおいしくないに違いない」
そんな先入観が、私に“自分で確かめること”を忘れさせました。
そうして数年後、スーパーの日本酒を網羅してきたころ、私はようやく手に取ることになります。
毎日見ていたはずの日本酒が、ようやく視界に入ったんです。
飲んでみて、驚きました。
期待していなかった気持ちも、落胆の心も、おいしくないという決め付けも、すべてが覆ったんです。
+10度の大辛口ながら、感じるのは辛さよりも熟成感とうまみ。
カドの取れた味わいは、舌によくなじみます。
ネーミングから熱燗が良さげですが、おすすめは断然『常温』です。
常温よりやや冷たく、くらいがバッチリ。
個人的には、天の戸の代名詞とも呼べる『美稲(うましね)』よりも好みの味わいでした。
惜しむらくは、ラベルデザインとネーミングでしょうか。
あまりにも目立ちません。
酒担当者時代に『醇辛』の魅力に気づけていれば。
もっと全面に押し出して、値引きの対象になどさせずに済んだのかもしれない。
そう思うと、歯がゆさがあります。
なのでここで。
ここで強くお伝えします。
『醇辛』は、私が好きな1本です。
私がもっと知られてほしいと思う1本です。
なので、ここであなたが知ってくれてよかった。
心からそう思います。
天の戸 精撰 純米酒
トリを飾るのは、ちいさな居酒屋に置いてほしいと心より願う1本。
その価格はなんと、720ml:770円!
ミリリッターあたり1円に迫ります。
味わいは、甘くもなく辛くもなく、中口のうまみ。
価格を考えると十分なうまさを誇ります。
ですが、それはあくまでも『価格を考えると』です。
770円にしては○○。
褒め言葉には必ず『770円にしては~』がついて回ってしまいます。
どうしても、価格がチラついてしまうのです。冷や、常温だと。
ところが、熱燗にすると評価が一変します。
化けるなんてものではありません。
“大化け”
突然生まれる心地の良いバランス。
うまくちと呼びたい、しっとりとしたうまみ。
熱めの燗にすることで、コスパの良さが振り切れます。
『天の戸 精撰 純米酒』は、真夏に置いておくと進みませんが、真冬にあればホッとする1本です。
おでんと一杯。
鍋と一杯。
アツアツには、アツアツで。
凍える夜に強く強くおすすめしたい『純米酒』です。
とはいえ、実はこの『天の戸 精撰 純米酒』は秋田県内限定販売。
しかも、スーパーやコンビニでは買えません。
有名な地酒屋さん、あるいはアンテナショップなど、ちょっと探す必要があるんです。
なので、見かけたらラッキー。
本命の日本酒のついででも構いませんので、軽い気持ちで1本、試してみてはいかがでしょうか?
まとめ:浅舞酒造の掲げる半径5キロ以内の酒造りは、まさに地酒
というわけで今回は、『天の戸』に限定して3本紹介させていただきました。
自分でも驚いたのですが、いい意味で『華やかさ』のないチョイスですよね。
限定性も弱く、世代によっては魅力を感じないラインナップかもしれません。
“あくまでも食中酒として”
選んだのは、希少性などない、遠慮なくグイグイ飲めるもの。
その地で産み、その地で消費する。
まさに地酒と呼べるであろう日本酒が中心です。
贈り物としては弱いかもしれませんが、普段づかいには強いラインナップとなっています。
ぜひ、あなたの日常に1本。
晩酌時の手元に置いてみてはいかがでしょうか?
それでは、今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
※出羽の冨士、高清水限定の記事はこちら