こんばんは、さるあみです。
流行の兆しが見えてきましたね、低アルコール。
大納川の『8%』や福小町の『バタフライエフェクト』を筆頭に、各酒造での動きが活発になってきたように感じます。
今回紹介していく、『天の戸』もそう。
新時代の酒米『一穂積』をつかった、これまでにない“まったく新しい純米大吟醸”を作り上げました。
ひとつは、アルコール分10%の『スパークリング』。
そしてもうひとつが、おなじくアルコール分10%の『生酒』です。
この記事では『生酒』のほうにスポットライトを当てていきます。
ぜひ最後まで読んで、新しい日本酒への期待を深めていただければうれしいです。
それでは、いってみましょう。
実は、『天の戸』をつくる浅舞酒造において、『低アルコール』は初の試み。
第1弾として送り込まれたのが、この『いちほづみ』です。
精米歩合は、出品酒にも匹敵する40%。
お米の表面を60%も削っています。
米粒が小さくなり酒造りに必要な米の量も増えるので、手間とコストが恐ろしい1本です。
それだけの手間をかけた『純米大吟醸』を、初挑戦の低アルコールにぶつけてくるなんてすごい試みですよね。
ところが、驚くべきところは『精米歩合』と『アルコール度数』だけではありません。
“日本酒度-23”
日本酒度は0を起点とした、甘辛度をあらわす数値です。
マイナスにいくほど甘くなるとされ、-6より下は大甘口に分類されます。
となると、より際立ってきませんか?
-23。
「どんだけ甘いんだよ!」と。
昔、-25のお酒を飲んだことがありますが、そのときに感じたのは“透明にした、米菓子のような甘み”でした。
やさしい甘さに、アルコールの重み。
日本酒にしか出せない甘さだと感じたのをよく覚えています。
ただ、それはアルコール分15%のお話です。
今回は10%。
飲んだことのない世界。
たった5%と思うかもしれませんが、缶チューハイで考えてみてください。
『ほろよい』と『ストロング系』ほどの差があります。
飲める、飲めないが決まるほどの差。
たった5%の数値には、それほど大きな意味があるんです。
というわけで、実際に飲んでみました。
まず、軽いっ!
当たり前ですが、口当たりの軽さが尋常ではありません。
するするっと水のよう。
舌を一切刺激せずに、酸と甘みがすーーーっと透き通っていきます。
酸には、若さある青み。
並行してお米らしい甘みがいます。
この尖らない甘みが抜群においしい。
「これを飲めない人はいないのでは?」と思うほど、飲みやすさの最先端をいく1本でした。
ただ、裏を返せば、日本酒好きのなかには『物足りない』と感じる人も少なからずいるはずです。
「飲んだ気がしない」
「日本酒じゃない」
「甘すぎる」
そんな、“すでにある日本酒観”が抵抗するのも事実。
特に、昔から日本酒を飲んでいる世代は、『伝統』を重んじるのではないでしょうか。
なので、おすすめするとしたら20代~30代。主に女性でしょうか。
これから日本酒を飲んでいく世代のとっかかりとして、1本目に良いのではないかと思います。
“とっかかり”としたのは、現状では低アルコールのほうが少ないからです。
10%に慣れてしまうと、一般的な日本酒が強くて飲めなくなるかもしれません。
そうなると、せっかく日本酒に興味を持ってくれたのに、なんだかもったいないですよね。
ただ、これからは低アルコールの時代が来ると言われています。
13、14%の日本酒はすでに見かけるようになりました。
このまま低アルコールへの追い風が吹きつづければ、まったく新しい時代が来るはずです。
新しい世代を巻き込んだ、日本酒の新時代。
“幅”を得た日本酒がどう進化していくのか。
『天の戸 いちほづみ』が見せてくれた“デザインの美しさ”と“これからの味わい”は、秋田の日本酒業界への大きな一石になるのではないかと感じました。
ちなみに、『スパークリング』のほうも一緒に飲んだのですが、おすすめはやっぱり『生酒』です。
というのも、『スパークリング』は泡が想像以上。
強いガス感が甘みを退けてしまい、苦みや渋みの方が勝ります。
なので、『スパークリング』は大人の味。
日本酒を飲みなれた方におすすめな食後酒、という印象でした。
それでは、今回はこのへんで。
いつもここまで読んでいただきありがとうございます。
☆『天の戸 純米大吟醸 いちほづみ』
- 使用米:一穂積
- 精米歩合:40%
- アルコール分:10%
- 日本酒度:-23
- 酸度:1.7
- 300ml:880円(税込み)
- 数量限定:700本
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