こんばんは、さるあみです。
スーパーで日本酒を買おうとすると、種類が多すぎて選べないですよね。
冷蔵コーナーと常温コーナーにわかれているのも、頭を悩ませる原因のひとつ。
それに、大抵の季節商品は冷蔵コーナーやエンドコーナーに並ぶので、どうしてもそちらを優先してしまいがちです。
なので、酒担当者時代に感じたのは、
“『常温』かつ『定番』の日本酒は売れない”
ということでした。
ですが私、気づいてしまったんです。
そんな『常温』の『定番棚』に、お宝が眠っていることに。
浅舞酒造【天の戸 醇辛】
『美稲』『吟泉』の陰に隠れた、あなたの身近に眠る1本です。
今回の記事では、その味について触れていきます。
ぜひ最後まで読んでいただいて、このお酒に興味をもっていただけるとうれしいです。
それでは、いってみましょう。
『天の戸 醇辛』ってどんなお酒?
『天の戸 醇辛』は、横手市にある浅舞酒造がつくる純米酒です。
浅舞酒造のおおきな特徴は、地産地消の徹底にあります。
日本酒を仕込むための原料は、すべて蔵から5キロ圏内でとれたものを使用。
酒米はすべて『JA秋田ふるさと・平鹿町酒米研究会』のものを使っています。
それはつまり、『山田錦』に頼らないということに他なりません。
では、『天の戸 醇辛』はどうなんでしょうか。
『天の戸 醇辛』に使われている酒米は、『吟の精』と『美山錦』のふたつ。
『吟の精』は秋田固有の酒米として知られていて、『美山錦』もまた寒冷地での栽培に適した酒米として有名です。
さらに、そこに『秋田流花酵母AK-1』を使うことで、まさに『地の酒』と言える1本をつくりあげています。
そして、感想へと移る前に伝えておきたいのが、『天の戸 醇辛』の日本酒度です。
その数値、+10。
大辛口にあたるお酒です。
数値をみれば、それだけで「やめておこう」と思う方もいるのではないでしょうか。
ですが、実際に飲んでみて気づかされました。
数値で判断するのは無意味だ、と。
『天の戸 醇辛』の味わい
『天の戸 醇辛』の味わいをひとことで表すのならこうなります。
辛さよりも、熟成感と丸みでうまみが沁みる。
なにより、想像よりもずっと辛くないです。
日本酒度って、プラスも行き過ぎれば『辛いだけ』になって、好みもおおきく分かれます。
ですが、『天の戸 醇辛』は+10だからちょうどいいのかもしれません。
舌にはピリッと辛さを感じながらも、口のなかにはふっくらとしたコク。
辛さのなかにも甘さがあって、飲みやすいうまさがあります。
カドのとれた辛口って、いいなぁ。
おすすめの飲み方は、冷やして、または常温です。
熱燗にすると酸味がよく香るので、ここは好みになるかと思います。
『天の戸 醇辛』の商品情報
『天の戸 醇辛』から見たおすすめな日本酒
『天の戸 醇辛』から見て、ちょっとおすすめしたい日本酒があるので2本ご紹介します。
まず、1本目がこちら。
私はよく『熟成感』という言葉をつかうのですが、この『熟成感』が苦手な方もいるかと思います。
私のいう熟成感とは、寝かせた時間の分だけ強烈になる『枯れたようなクセ』のこと。
コハク色の濃い日本酒に多くみられる特徴です。
もちろん、『熟成感』のなかには『深み』や『丸み』など、ポジティブな気持ちもたくさん込めています。
ですが今回は、『枯れたようなクセ』の部分。
これが感じられなくて、かつ、同じように旨辛な1本として『うまからまんさく』を挙げました。
※詳しくはこちらの記事をどうぞ。
そして、2本目。
2本目は、おなじ浅舞酒造から、『天の戸 純米吟醸 五風十雨』です。
これはむしろ、『熟成感』を好む人に向けて挙げました。
寝かせた年数は記載されていないのですが、味わいには見事なコクと枯れ感があります。
熱燗にすることでうまみを堪能できますが、常温でも十分においしい1本です。
※詳しくはこちらから
『天の戸 醇辛』の感想・レビュー:まとめ
実をいうと『天の戸 醇辛』は、スーパーの酒担当者だったころは毎日みていた1本です。
その印象は、あまり動かないお酒。
おなじ浅舞酒造のものでも、となりに置いてある『美稲』『吟泉』が強すぎたんです。
『美稲』は、食中酒として。
『吟泉』は1000円で買えるコスパに優れた酒として。
それぞれが確固たる地位をもっていたため、『醇辛』はどうしても陰に隠れていました。
売り手側としては、動かないお酒に良い印象はありません。
売れずに月日が経てば、醸造年月日からどんどん間が空いてしまうので、より売れなくなります。
スーパーの定番コーナーは、あくまでも常温の売場です。
お世辞にも貯蔵に適した場所とは言えません。
だからこそ、売れないお酒にはストレスを感じたものでした。
ですが、この『天の戸 醇辛』を飲んで気づかされたことがあります。
それは、灯台の下は暗いということ。
どこにでも置いてあるお酒の魅力を、担当者が伝えられていないだけだったのだと思い知らされました。
もし、あのころの自分が今の目線をもっていたら、あの店の日本酒コーナーはもっと活気づいていたのかもしれない。
このお酒を飲みながら、そんなことを考えてしまいました。
ですが、それを考えても仕方ありません。
だって、辞めたからこそ持てた目線なのですから。
辞めなければ、今の意欲はありません。
ほんと、楽しい日本酒ライフになったなあと思います。
という感じで、『天の戸 醇辛』は、いろいろと思い出せてくれるステキの日本酒でした。
それでは、今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。