こんばんは、さるあみです。
寒い日が続く冬の夜も、エアコンの効いた夏の夜も、熱燗ってホッとしますよね。
むかしは正直、自宅での熱燗って面倒なイメージがありました。
ですが、いまはレンジでチンするだけで簡単にできてしまいます。
もちろん、温度云々やムラなどを語れば、レンジ燗を否定する方もいるかもしれません。
それでも個人で楽しむならレンジ燗で十分だと思います。
その上でおすすめしたいのが今回の1本。
【天の戸 純米吟醸 五風十雨】です。
燗がおすすめの日本酒ですが、実は常温でもおいしくいただけます。
私もそうなのですが、レンジ燗すら面倒な日ってありますよね。
サッと開けて、スッと注いで、グイッと飲む。
それで済ませたい日って、誰にでもあるものです。
【天の戸 純米吟醸 五風十雨】は、そんなあなたと私にやさしく接してくれる1本。
ここからは味の感想や商品情報、どんなお酒なのかにも触れていきます。
ぜひ最後まで楽しんでいってくださいね。
『天の戸 純米吟醸 五風十雨』ってどんなお酒?
『天の戸 純米吟醸 五風十雨(以下 五風十雨)』は、横手市にある浅舞酒造がつくる『燗向けの日本酒』です。
浅舞酒造の代表銘柄は、『天の戸』、そして『夏田冬蔵』。
天の戸は食中酒として知られており、夏田冬蔵は米の違いを楽しませるブランドとして有名です。
『五風十雨』はというと、いちおう『天の戸』ブランドに属しています。
いちおうというのは、天の戸の定番酒とくらべると明らかに異彩を放っているからです。
浅舞酒造の公式サイトでは、自社商品を4つの味わいに分けています。
- フルーティー
- すっきり
- ふくよか
- コクがある
『五風十雨』は『ふくよか』に入っており、「ご贈答やじっくりと味わいたい方に最適」と書かれています。
一方、『天の戸』の定番酒はほとんどが『コクがある』に分類。
「晩酌はもちろん、様々なシーンにどうぞ」と書かれています。
おなじ『天の戸』でありながら分類のちがう『五風十雨』は、いったいどんなお酒なんでしょうか。
少しだけ数値に触れてみます。
『五風十雨』の精米歩合は50%。
そこだけみれば純米大吟醸を名乗れる逸品です。
そして、使っているお米は『美山錦』。
酒米としては『山田錦』『五百万石』に次ぐランクで、寒い地方でも育てやすいことから長野や秋田でも人気があります。
おおよその甘辛度をあらわす『日本酒度』は+4。
『やや辛口』と『大辛口』の間にある『普通の辛口』といえます。
酸度は1.4なので平均的な数字です。
「あれ? 特に特徴がない……?」
数値だけみると、よくある純米吟醸。あるいは、リーズナブルな純米大吟醸といった印象なんです。
ところがどっこい。
ところがどっこいですよ。
飲んでみてびっくりしました。
ちょっともう気持ちが抑えきれないので、味の感想へといってしまいましょう。
『天の戸 純米吟醸 五風十雨』の味はどうだった?
常温でひとくち目に感じたのは、
「これ絶対、数年寝かせてる!」
口にふくんだ瞬間は、ちょっとクセ。
黒糖のような深みがあるので、常温でもコクを感じます。
その上でやわらかく消えていくので、味わいには年月を感じる落ちつきがあるんです。
さらに、公式におすすめされている『燗』で飲むと、コクが増してうまみがたっぷり。
油分を錯覚するほどのまろやかさを感じます。
これが甘すぎず辛すぎず、うまいんだ~。
チーズのような奥深さが、ゆっくりと舌に沁みてきます。
これはもはやスープです。
商品の説明に『寝かせた年数』は書いていません。
ですが、これほどまでに安心する味わいとなると、やはり年月でしか生み出せないのではないかと思います。
それくらい、『燗』でカドのとれた味わいを堪能できるんです。
新酒、生酒にはない奥行き。
ぜひ、あなたにも楽しんでいただきたい1本でした。
『天の戸 純米吟醸 五風十雨』の商品情報
※美山錦は『JA秋田ふるさと・平鹿町酒米研究会』のものを使用しています。
まとめ:燗もうまいが常温もうまい、コク深い味わい
『五風十雨』は、たまたま立ち寄った『酒の英雄』に1フェースで置かれていたことがきっかけで購入しました。
『天の戸 美稲』『天の戸 醇辛』のとなりにポツン。
手にとって『浅舞酒造』の文字がみえたときは、正直驚きました。
「これも天の戸なのか」
浅舞酒造の主力ブランドの陰に隠れていた、おもわぬ伏兵。
棚にある姿は静かで、味わいもまた静か。
にぎやかな席には似合わないかもしれません。
ですが、気の置けない相手との落ちつきある時間にはステキな1本です。
会話ではなく、時間を楽しむ。
そんなときは、ぜひこのお酒を思い出してください。
『五風十雨』は、そんな温かい時間をより温かくしてくれますから。
それでは、今回はこのへんで。
ここまで読んでいただきありがとうございます。