こんばんは、さるあみです。
今回は、酒米をあえて磨かない日本酒、
“浅舞酒造『天の戸 美稲八◯ 無濾過純米生原酒』”
こちらをご紹介していきたいと思います。
なぜ酒米を80%までしか磨かなかったのか。
結果、その試みがどういった味わいを生んだのか。
日本酒の情報だけでなく、飲んだ感想もしっかりと書いていきます。
あなたの日本酒選びの参考になってくれるとうれしいです。
それでは最後までゆっくりしていってくださいね。
天の戸『美稲八◯』の基本情報
天の戸『美稲八◯』の基本スペックはこのようになっています。
まずは正式名称が長いです。非常に長い。情報が渋滞しています。
『純米酒』で『濾過していなく』て『生酒』で『原酒』。
つまりは、米だけでつくり、ほぼ手を加えることなく出荷された、新鮮で生きたままの日本酒ということになります。
火入れがいっさいされていないので、常温での保管はNGです。
原料米は、秋田酒こまち。
ほぼ秋田のみで使われている、全国作付面積ランキング4位の酒米です。
秋田酒こまちでつくられた日本酒は、“香り高く、上品な甘みがあり、旨さを軽快な後味をもつ”と言われています。
そして精米歩合は、『八◯』が示すとおりの80%。
あえて磨かないことで、米のもつ旨みを存分に引き出しました。
酒米に対する信頼があるからこそ可能な試みであり、また、信頼に応えられる酒米だからこそ生まれた日本酒だと言えそうです。
吟醸酒ブームに沸く1990年に誕生した、さわやかさと軽快さを合わせもつ酵母です。
飲んだ感想の項でも書きますが、コクのあるお酒でありながら後味に軽快さを感じます。
この軽快さは、酵母由来なのかもしれませんね。
続いて、アルコール度数です。
原酒といえば一般的には18~20度くらいなのですが、『美稲八◯』のアルコール度数は17度。
少しだけ低いと言えます。
日本酒度は+3。
辛口にあたりますが、人によっては中口に感じてもおかしくはない数値です。
酸度はかなり高めの2.0。
人によっては飲みにくさを感じてしまうくらい高い数値となっています。
酸っぱいと感じることはありませんが、味わいに違和感を覚える方もいるかもしれません。
「あれ?いつも飲んでる日本酒と違うな」
そんな違和感をどう受け止めるかで、酸度による評価はかわってきます。
天の戸『美稲八◯』を実際に飲んでみて
天の戸『美稲八◯』を飲んで最初におとずれた感想は、「んーーーーー、来ない!」でした。
なに言ってんだこの人、と思われたかもしれません。
ですが、いちばんに出た感想は「んーーーーー、来ない!」だったんです。
なぜなら、普段飲んでいるお酒が“吟醸酒”だったから。
口にいれた瞬間、フルーティーさが舌で感じられて、香りも口のなかいっぱいで感じられる。
そんなお酒を好んで飲んでいたことが原因でした。
ジュワ~っと広がる感覚が、来なかったわけです。
そう。
美稲八◯は、ジュワ~っとは広がりません。弾けるような感覚はありません。
しっかりとした味わいと厚みが、舌の上だけで感じられます。
風味は、甘くないのに黒糖のよう。
80%精白なのにザラつきはなく、雑味がありません。
だから、コクがダイレクト。
強い旨みが舌の上に広がって、ふくらみを感じます。
そして、残る余韻が不思議なもので!
辛くはないんです。刺激がないので中口と錯覚するくらいです。
それなのに後味が軽くて、消えるような感覚があります。
消えるというよりは、むしろ、残らない。
黒糖のような風味だけを残して、あとは消えていきます。
正直にいえば、得意な味ではありません。
ですが、重みが残らないから、コクのある日本酒なのにスイスイ飲めてしまいました。
この飲みやすさは反則です。
浅舞酒造『天の戸 美稲八◯ 純米無ろ過生原酒』まとめ
天の戸『美稲八◯』を実際に飲んでみて気付かされるのは、
『磨かない=マズい』
ではないということです。
どうしても低精白のお酒について回るイメージには『安酒』『粗悪』といったものがあります。
ですが、それは大きな間違いでした。
良質な酒米と優れた技術があれば、こんなにも旨みのある日本酒ができます。
しかも、コスパがいい。
『安酒』のイメージが悪いかのように書きましたが、『安くてうまい』のなら最高じゃないですか。
酒米を磨かないということは、コストが抑えられます。
だから、普段遣いにはもってこいなんです。
実際、『天の戸美稲八◯』の価格は1.8Lで2,200円(税込)です。
この価格をどう受け止めるか。
安いからどうせ……と取るのか。
安くてうまけりゃ最高だろうと捉えて飲んでみるのか。
それによって、日本酒の楽しみ方に幅が生まれそうですね。
私自身、考えさせられる1本でしたので、ちょっと長めの記事にさせていただきました。
この記事が、あなたの日本酒選びの参考になってくれるとうれしいです。
それでは、今回はこのへんで。
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